教育について

こんにちは。Linkの教室長です。今回はかなりざくっとしたタイトルで記事を書かせて頂きました。これは単純に教育全般について書きたいと思ったことと今回書く内容にベストなタイトルが思いつかなかっただけです。

ではいつも通り書き始めていこうと思いますが、先にお断りを入れておかなければならないことがあります。

今回の記事でかなり広い範囲で教育について触れます。教育ほど個人の価値観や倫理観、相手への願いが込められているものはないかと思います。

今回の記事は他の方の教育への考えや想いを否定するものでも論破するものでもありません。記事を読み進める中で「そんなことはない!」「偏見だ!」「こいつの言っていることは現状を何もわかってない!」と憤慨されるかもしれません。保護者の皆様や同じ教育者の皆様に対して悪態をついているように見えるかもしれません。しかし、これはあくまでもLink教室長が短い人生の中で2021年時点で得た一先ずの結論です。まだ人生は続くのでその中で変化するかもしれません。決して保護者の皆様や同じ教育者の皆様方、日本教育を罵倒するような意図がないことだけはご理解下さい。

メインに入る前に少し私のこれまでの勉強遍歴について触れなければなりません。商業科の高校を卒業後、1年ほど働いてCGの勉強をするために4年制の専門学校で3DCG映像について勉強しました。当時は学年が進むごとに専攻が細分化されていく仕組みだったのでCGについて勉強したのは3年間でした。1年生は広く学ぶ内容だったのでHTMLやCSS、C言語、デザイン、基本情報取得など広く学びました。2年生以降はデザインであったり映像の勉強へと進みました。その中で色の勉強や文字の勉強、映像やカメラワークの勉強をしていきました。

専門学校卒業後、映像加工のお仕事やパソコンインストラクター、営業事務、専門学校教師など多くの仕事を経験しました。営業事務時代から並行しながら教員免許を取得するために通信教育の大学で社会学を勉強しました。初めて論文を書く経験は失敗と手探りばかりでしたが専門学校では論文の課題はなかったので新鮮で楽しかったです(卒業論文は大変でしたが面白かったです)。専門学校教師時代はプログラミングやデータベース、国家試験対策、映像制作など広く教えてながら、独学でファイナンシャルプランナーの資格や日商簿記、CG-ARTS協会の検定などを取得しました。特にファイナンシャルプランナーは守備範囲外の試験だったので3級・2級と連続して受けるのに10ヶ月ほどずーっと勉強の日々でした。

さてここからが本題です。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されたことでプログラミング教室が爆発的に増えてきています。ロボットや人気ゲームを使って簡単に学べる教室や本格的なプログラミングが学べる教室など様々です。この必修化には、1つは政府が発表しているIT人材の不足、もう1つは日本におけるパソコン普及率とほとんどの職種でパソコンを使うために早い段階から教育を始めようとする社会的な背景が影響しているのだと思います。早い段階からパソコンに触れることで将来への選択肢を増やす狙いもあるのだと思います。また、2000年あたりまでは「パソコンが使えればどこかしら就職できる」と言われていました。この時代はパソコンが家庭レベルに普及し、電話しながらでもインターネットが使えるというISDNやADSLが広く普及したころでした。そこからこの記事を書いている2021年。今では「パソコンぐらい使えないと」と言われる時代になりました。

パソコンに限らずどんな知識やスキルも同じですが、持っていて損はありません。知識やスキル、資格は持っていても置くところに困るということもありません。特に資格は外から見ても知識やスキルの証明になります。特に近年ITの進化が著しいです。あっという間に新しいアイテムや技術が登場します。専門職ほどの知識は身につけなくても良いとしてもある程度は身につけておかないと相手の話についていけずにちんぷんかんぷんになります。

例えば自宅のルータを新しくしようと家電量販店に行って販売員に相談した所、専門用語がたくさん出てきて何を言っているのか理解できずに勧められるがままに商品を購入したり、うっかりSNSに投稿した写真や動画が炎上して個人情報がネットで晒されるなんてことがあったとします。正しく知識を身につけておけば専門用語が出てきても相手の話が理解できるでしょう。SNS上でうっかり炎上するのも防げるかもしれません。現代のような超高度情報化社会ではパソコンやスマホなどITに関する知識は必要不可欠です。が、パソコンやスマホが扱えても相手の専門用語がわかるようになるわけではありません。家のインターネットが急に繋がらなくなったときに対処できるわけでもありません。ネット上での炎上も防止も鎮火もできません。インターネット不調のトラブル対処にはパソコンやスマホがどうやってインターネットに接続しているのかといった仕組みを知っておく必要があります。ネット上での炎上防止には法律やSNSの特徴、動画像の特徴をある程度把握しておく必要があります。他人が作った技術でもそれを使うのならある程度その技術の仕組みを簡単にでも知るべきです。

何かを勉強する場合、それに関連するエリアもある程度勉強する必要が出てきます。3DCGで映像を作る場合でも3DCGソフトでキャラクターなどを作る方法を勉強するのはもちろんのこと、他にもライティングやカメラワークによる演出方法なども勉強する必要がありますし、キャラクターを動かしてアニメーションを作るにはキャラクターの骨格や筋肉の付き方なども勉強しなければなりません。それらを勉強せずに3DCGでアニメーションを作った場合、キャラクターの動きが変に見えたり、物理法則を無視した動きをしたりして見る人に不思議感を与える結果になります。ゲームプランナーやクリエイターを目指す学生もゲームの企画の立て方や作り方だけではなく、例えば過去にどんなゲームが存在したのか、人気があるゲームはなぜ人気があるのか、世の中では何が人気なのかなど勉強する必要があるでしょう。また(おもちゃやゲームの業界に限らずですが)過去にあったものがバージョンアップされて人気が出るという現象があります。けん玉やヨーヨー、喧嘩独楽がその良い例です。木材で作られたけん玉やヨーヨーは光ったり、音がなったりするおもちゃとして進化し、さらには技を競い合う国際大会が実施されるほど人気が出ました。喧嘩独楽もベーゴマのようにシンプルだったものから独楽に様々なパーツを付けて回転時間を長くしたり、より相手を弾き飛ばしやすいようにできたりするものへとバージョンアップして人気ができました。

特に小学生や中学生などのお子さんがいるご家庭の保護者の方はお子さんが将来なりたい職業を教えてくれたときにその職業に就くにはどんな勉強やスキルが必要で、それにはどんな分野が関係しているのかを一緒に探してあげてほしいと思います。

もう少し「勉強」についてお話させて下さい。勉強する本人がある程度成熟し、勉強の先にある未来を見た上で行うなら特に周りがアドバイスをするなど世話を焼く必要もないかもしれません(あくまで「勉強すること」に関してですが)。しかし、勉強する本人が幼い場合や将来への夢が漠然としている時は少し異なるかと思います。お子さんがプログラミングを勉強したい、サッカークラブに通いたいと言ってきたりした場合、自立心や積極性を育てる意味合いで(経済的な事情などを考慮して可能なら)始めさせるご家庭もあるかと思います。サッカーや野球クラブに通いたいという場合は特に関連する勉強はないかもしれません(それでもより良い練習方法や筋肉を傷めない練習方法などは一緒に勉強してもいいと思います)。しかし、これがプログラミング教室の場合は別だと思います。私は専門学校でプログラミングの基礎を習って、専門学校でプログラミングを教えていたこともあって、「プログラミング」とは「アルゴリズムの勉強」と「プログラム言語の作法の勉強」だと考えています。中にはこの2つを1つの講座(科目)として扱ってる学校や教室もあると思います。もちろんこの2つを1つ講座(科目)として扱っていても授業的に区分けしているのなら問題ないと思います。少し紹介が遅れてしまいましたが、「アルゴリズム」とは「物事の順列を整理すること」を言います。ほとんどの人が朝の身支度や待ち合わせ時間からの逆算で無意識下で行っています。しかしほとんどの人がしっかりとした教育は受けていません。

さて話を戻しましょう。プログラミングで何よりも困難なのは「良いアルゴリズムを作ること」なんです。プログラム言語によっていろいろと作法があったりできること・できないことがありますが、それは毎日その言語に触れていればある程度は自然と習得できます。しかし、「アルゴリズム」に関してはしっかりと頭を使って考えて意識的に訓練しないと絶対伸びません。意識的に訓練せずに伸びるなら今頃生きている人間全員が優秀なプログラマーになっています。これを読んで頂いてる方の中に「日常的にしていることをわざわざ高いお金を払って習うなんてばかばかしい」と思っている方がいらっしゃったら今すぐプログラム言語の勉強をしてプログラマーに転職することおすすめします。1年ぐらい本気で言語の勉強をすればそこその実力がつくと思います。それに今ではスキルの習得度を測ってくれるサイトもいくつかあります。せっかく読んで頂いてる方からお叱りを受けそうなお話は置いておいて・・・。プログラム言語の作法の勉強は毎日少しでもプログラムを書いていればある程度自然と伸びます。しかし問題なのはアルゴリズムです。ここのスキルがないといくら作りたいものがあっても途中からどうやっていいか解らず途中で嫌になります。子供ならなおのことです。お給料をもらって本職にしている大人ですら嫌になるぐらいです。ただ「アルゴリズム」の勉強で絶対的に覚えていてほしいのは「答えは一つじゃない」ということです。雑な言い方ではありますが、プログラミングの終点は「問題なくちゃんと希望通りに動くものを作る」ことです。「処理が遅くて・・・」というのは二の次です。そのための答えは一つじゃありません。が、読みやすく書いたり、後で見返したときにどんなことをしているのかがすぐわかるように書く、となるとある程度みんな似通ってきます。10人いれば10通りの答えが・・・とまでは言いませが、10人いれば3、4通りの作り方が出てきます。

日本の教育はどうにも「失敗を恐れず自分の頭で考える」機会を奪っている気がしてなりません。奪っているという表現は少し大げさかもしれませんが、もちろん授業時間は決められていて、カリキュラムがあるのである程度のところで区切って答えや解説をすることになります。先生も保護者も「子どもたちにはできるだけ成功体験をさせてあげたい」と思ってらっしゃるのもわかります。少しひどい話かもしれませんが、成功体験しか知らない子がそのまま大人になって社会に出たときに子供の時と同じように成功だけし続けられるでしょうか?生きていくことは答えが1つでしょうか?社会で生きていくことは「本当にこれで良かったのだろうか・・・」の連続です。思っていたことがそのままでは無理でもクオリティを下げたり他のものと組み合わせることで実現できるかもしれません。

教育者の皆様並びに保護者の皆様。もちろん子どもたちに成功体験をさせるのは自信にもつながる大切な経験です。しかし、それと同じぐらい「今回は失敗したから次からはこうしようという軌道修正経験」も大切だと思います。時代とともに子どもたちの心も複雑になってきている気がします。教職者は間違った解答をした子どもに「それは違う」とズバって言っていいものか、どうすれば傷つけずにその解答は違うと伝えられるだろうかと非常に悩みます。

これは偏見かもしれませんし全てがそうだと言い切るものではありませんが、私はこうした「子どもを傷つけずに明確に伝える」というのが数年、十数年後にその子どもが就職したときに大きなリスクになっているのではないかと思っています。近年、新卒などの比較的若い新入社員の中に「細かく指示されないとわかりません」、「先輩が言うようにやったら怒られました」、「上司から怒られたからもう行きたくない。退職します。」というようなのがいるという話を耳にすることがあります。これは幼少時に成功体験しかせず、周りの大人がアルゴリズムの如き明確な指示をして[失敗を恐れずに手探りで正解っぽいものを探す]という機会を十分に与えられなかったことに起因するものではないかと疑っています。

プログラミング、アルゴリズムの勉強で大事なことは「自分の頭で考え抜いて、諦めずに問題なくちゃんと希望通りに動くものを作る」ことです。

もしもお子さんにプログラミングを習わせたいと思う保護者の皆様。しっかりとしてスキルをつけさせたいならアルゴリズムとプログラミングを分けて捉えている(教育者のいる)教室で勉強することをオススメ致します。