[第32回]国家試験解説[AP令和5年春]

応用情報技術者試験 令和5年春期 問10

キャッシュメモリへの書込み動作には,ライトスルー方式とライトバック方式がある。それぞれの特徴のうち,適切なものはどれか。

ア:ライトスルー方式では,データをキャッシュメモリだけに書き込むので,高速に書込みができる。

イ:ライトスルー方式では,データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,主記憶の内容は常にキャッシュメモリの内容と一致する。

ウ:ライトバック方式では,データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込むので,速度が遅い。

エ:ライトバック方式では,読出し時にキャッシュミスが発生してキャッシュメモリの内容が追い出されるときに,主記憶に書き戻す必要が生じることはない。

出典 IPA公開[過去問題]:https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/ps6vr70000010d6y-att/2023r05h_ap_am_qs.pdf

コンピュータは処理するデータを主記憶装置に置き、実際にCPUがデータを処理(演算)する時はレジスタにデータを置きます。

しかし、レジスタはCPUからのアクセス時間が最も短いのですが、置けるデータ容量は非常に少ないです。かと言って、主記憶装置は置けるデータ容量は非常に大きいのですが、CPUからのアクセス時間がレジスタに比べて非常に遅いです。

そこで、その間を埋めるものとして、CPU内部に「キャッシュメモリ」というのを作っています。

ライトスルー方式

CPUで処理(演算)したデータをキャッシュメモリと主記憶装置の両方に書き込む方式です。

メリット:キャッシュメモリと主記憶装置のデータが常に最新になること。

デメリット:CPUから主記憶装置へのアクセス時間がかかるのでライトバック方式に比べて処理が遅いこと。

ライトバック方式

CPUで処理(演算)したデータをキャッシュメモリだけに書き込み、キャッシュメモリからデータを主記憶装置へ追い出す際に主記憶装置へ書き込む方式です。

メリット:CPUからアクセス時間の短いキャッシュメモリだけにデータを書き込むのでライトスルー方式よりも処理が早いこと。

デメリット:最新データはキャッシュメモリにしかないので、主記憶装置へ書き込む前にキャッシュメモリのデータが何かしらのトラブルで消えた場合は古いデータしか残らないこと。

正解は、「イ:データをキャッシュメモリと主記憶の両方に同時に書き込む」です。

※過去出題経歴:令和3年春期 問12