[第46回]国家試験解説[AP令和5年春]

応用情報技術者試験 令和5年春期 問78

ソフトウェア開発を,下請法の対象となる下請事業者に委託する場合,下請法に照らして,禁止されている行為はどれか。

ア:継続的な取引が行われているので,支払条件,支払期日などを記載した書面をあらかじめ交付し,個々の発注書面にはその事項の記載を省略する。

イ:顧客の求める仕様が確定していなかったので,発注の際に,下請事業者に仕様が未記載の書面を交付し,仕様が確定した時点では,内容を書面ではなく口頭で伝える。

ウ:顧客の都合で仕様変更の必要が生じたので,下請事業者と協議の上,発生する費用の増加分を下請代金に加算することによって仕様変更に応じてもらう。

エ:振込手数料を下請事業者が負担する旨を発注前に書面で合意したので,親事業者が負担した実費の範囲内で振込手数料を差し引いて下請代金を支払う。

出典 IPA公開[過去問題]:https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/ps6vr70000010d6y-att/2023r05h_ap_am_qs.pdf

下請法(下請代金支払遅延等防止法)とは

企業が他の企業や個人事業主に仕事を依頼することがあります。その場合、当然ですが、仕事を請けた側(下請業者)が依頼側に金額を請求します。しかし、その際に仕事を依頼した方が偉い、仕事を請けたほうが下、というような上下関係が形成されることがあります。単発的な仕事であればそこまで強い上下関係にはならないケースもありますが、仕事を請け負った側も継続的に仕事をもらいたいと思っているので依頼者に対して強く出ることはできません。そのことを利用し、依頼者側が強く出て、金額を不当に下げさせたり、支払期日を守らなかったり、依頼しておきながら成果物納品を拒否するケースがあります。下請法はこうしたことから下請業者を守るための法律です。

本問にあるように、契約締結時に決まっていないことを口頭のような正式に記録に残らない方法で伝えるのも禁止行為です。契約締結時に決まっていないことを後日決めた場合は必ず書類を交付しなければなりません。

正解は、「イ:内容を書面ではなく口頭で伝える」です。