皆さんは「ICT教育」という言葉をご存知でしょうか?もし聞いたことがないという方、「IT教育」はご存知でしょうか?実はどちらもほぼ同じ言葉なんです。「IT教育」とはコンピュータ(主にパソコン)を扱うための教育でした、しかし昨今コンピュータはインターネットに繋がっていて当たり前という考えからなのか「ICT(情報通信技術)」という言葉が使われるようになりました。
パソコンとインターネットが一般家庭に普及しだした当初、インターネットは定額で使い放題ではなく、使ったら使った分だけ料金が請求される仕組みで1つの電話回線を電話とパソコンで使い分けていたため、電話をしているとインターネットができず、インターネットをしていると電話ができないという仕組みでした。当時、不用意にインターネットに接続しすぎると高額な請求が来ることもあってメールは受信時と送信時のみオンラインにしてそれ以外はオフラインにしないと親によく怒られたものです。その後、ISDNというものが登場して電話しながらでもインターネットができるようになりました。
ただ、この時代のインターネットは現代のように誰もが自由に情報が発信できるというよりは一部のパソコンやインターネットに興味がある人達が自作でホームページを作って情報を発信するというものでした。
そしてADSLが登場したあたりから定額制プランが登場していつでも好きなだけインターネットに接続していられるようになりました。また、ブログというサービスの登場によって誰でも簡単に情報発信ができるようなり、多くの人達(芸能人や企業、一般人)がブログを開設しました。
そして現在。TwitterやInstagram、TikTok、イチナナなど個人が情報発信ができないほうが不思議になりました。2020年に世界を襲ったコロナ禍では巣ごもりが増えたこともあってかYoutubeで多くの人が個人のチャンネルを開設し、多くの人がYoutuberとしてデビューしました。もちろんコロナ禍だけが要因ではないとは思いますが、Youtuberデビューのきっかけになったことは確かだと思います。
このように個人レベルで情報発信が容易になった現代。いや、個人でブログを開設できるようになった時点で個人レベルでも手軽に情報発信はできるようになってはいたのですが、TwitterやInstagram、TikTol、Youtubeなどによって文字や写真だけの発信だけでなく音や映像など様々な方法での情報発信が容易になった現代です。
しかし、個人で簡単に情報発信ができるということはそこに潜む闇も個人の責任になります。企業や団体に属して、その名前を冠して発信を行う際は何人かのチェックが入って、危険なものや炎上しそうなものに関しては発信前にSTOPや修正がかかります。しかし個人の場合はそのチェックが入らない可能性があるため、注意が必要です。2010年代前半からTwitterで後先考えずに動画像を投稿して炎上するいわゆるバカッターが登場し、逮捕されるケースや損害賠償を請求されるケースがが多くありました。最悪のケースでは個人情報をネットに晒される場合もありました。
情報技術の進化はおそらく他のどんな技術よりも速く進化します。最初のiPhoneが出てのが2007年です。それから十数年で顔認証機能、支払機能、複数レンズによる高性能カメラなど劇的な進化をしました。また、タブレットやスマートフォンに触れる年齢もどんどん下がってきており、ベビーカーに乗った子どもでも使いこなす姿さえ目にします。
ICTに早くから触れるようになるのですが、ICTを安全に使いこなすための知識やスキルをしっかりと教わる機会がないのが現状です。子供同士でもLINEなどを使って連絡を取り合うのが一般化していますが、LINEなどのSNS上でのいじめが問題になっています。スマホやタブレットでのゲーム依存も出てきています。家庭でルールを設けることはもちろん大切です。端末を使う本人が積極的にルールを決めることも大切です。しかし、それらはしっかりとした知識によって決められるべきです。
例えばルールが一切ない状態でSNSなどで友達の写真を勝手に加工して勝手にアップしたとします。この場合、アップした写真を見た友達から肖像権の侵害、加工によっては名誉毀損で訴えられても文句は言えないかもしれません。また、ネットでの特定の人物に対する執拗な誹謗中傷は訴えられるかもしれません(悪口を言われている側がプロバイダに対して発信者の情報開示を請求することができます)。インターネットに流れた全ての情報を完全に抹消することはほぼ不可能ですし、一度大きく炎上したものはどれだけ速く鎮火してもいつまでもどこかに火種が残ったままになります。
もちろんこのようなことを気にかけすぎて友達に「SNSにアップしていい?」と聞けないレベルまで過敏にならなくてもいいとは思いますが、不用意にアップして炎上した場合のことを実際にアップする前に考えるぐらいには過敏になってもいいと思います。
今では小学校からパソコン実習の授業があり、高校では明示的に「情報」として科目があります。しかし、中にはパソコンの技術的な授業が展開され、情報リテラシー的な授業が展開されていないところもあるでしょう。その先でしっかりとICTや情報リテラシーを習うとするとIT関係の専門学校か大学のIT系学部、社会学部ではないでしょうか。私はこれだけICTが身近になり、職種・業種・年齢・性別に関係なく活用している現代に置いてある程度の情報リテラシーやICT教育は必須教育ではないかと考えています。もちろんITパスポートなどの国家試験レベルまでの知識は不要としてもそれに近い知識・スキルは必要だと考えています。
このようなことは本来ここで話すべきではないかもしれませんが、「知識がない」というのは知識がある側からすれば割と簡単に騙せます。例えばワンクリック詐欺などで「あなたのIPアドレスはxxxx.xxxx.xxxx.xxxxです」と表示されることがあります。しかし、インターネットの仕組みを知っていると自分のIPアドレスを相手が知っていることは普通のことだとわかります。しかし、知識がなかったり薄かったりすると「自分の情報がバレた」と錯覚してしまいます。また、メールも送信者は偽装できます(偽装を見破るための仕組みもありますが)。偽装メールはだいたい実際にある企業の名前で来てリンク先のWebサイトも本物っぽく作っています。ちなみにメールに書かれたURLと実際にアクセスするURLは別々のものに設定できます。知識があれば送信者のメールアドレスやリンク先のURLをチェックして詐欺メールとわかるのですが、知識がないと見抜けません。
お子さんに勉強してもらって知識をつけてもらうのも良いのですが、まずは端末を買い与える大人がしっかりと学び、お子さんに端末と一緒に知識を与えてあげてはいかがでしょうか?