本のご紹介と現代社会・未来社会への思い

今回は1冊の本をご紹介するとともにかなり以前から思っているお話をさせていただきます。少しお話が長くなり、内容も論文みたいになりますのでご了承下さい。また、あくまでLinkの教室長の視点だけでお話させていただく点もご理解下さい。

2021年版経営労働政策特別委員会報告
エンゲージメントを高めてウィズコロナ時代を乗り越え、Society 5.0の実現を目指す

という本が2021年1月に出版されました。本題に入る前のタイトルにある「Society5.0」をご紹介します。

Society 5.0とは狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/

さて、今回ご紹介した書籍では元々構想されていたSociety5.0と2020年に発生した新型コロナウイルス(COVID‑19)によって変化した世の中の流れについても触れられています。

新型コロナウイルス(COVID-19)によって全世界的に社会の流れやあり方が大きく変わったことは言うまでもありません。旅行業や飲食業などを始め、多くの業界が影響を受けましたし、特に海外からの入国規制があったこともありインバウントをメインにしていた企業やお店は多大なる影響を受けました。「3密」を避け、「ソーシャルディスタンス」を意識するようになり、多くの企業が「テレワーク」「時差出勤」などを導入しました。元々テレワークを導入していた企業の中には今回のことを機に完全にテレワークへと移行し、オフィスを構えなくなった企業もあるそうです。しかし、テレワークによる自宅勤務が弊害もなく受け入れられたかと言えばそうではないでしょう。見る人にとってはテレワークは自宅で仕事ができ、通勤時間も0になるすばらしいものに感じることでしょう。しかし、全ての業界・全ての企業・全ての職種・全ての働き方(雇用形態)でテレワークができるわけではなりません。例えば飲食業を営んでいる企業であれば本社でデスクワークをしている社員はテレワークができるが、店舗勤務の社員はテレワークができないなどがあります。

会社で仕事をする場合、多くの企業では専用のファイルを保存しておくために「ファイルサーバ」というのを用意してそこに業務で使うファイルを保存しています。しかし、これは会社のネットワークに繋いでいるから使えるのです。社員の自宅から会社の「ファイルサーバ」にアクセスできるようにすることは可能なのですが、様々なリスクやコストが発生します。もちろんそれらを凌駕するほどにメリットが大きければ企業は各社員が自宅からでも仕事をできるように資金と労力を投資するでしょう。しかし、それでも1つの企業にある全ての職種の社員に適用できるわけではありません。職種によってはどうしても出社しないと行けない職種もあります。さらにニュースでも取り上げられましたが、日本はハンコ文化が根付いているため、書類にハンコを押すために出社しなければならないという会社員もいました。日本経済新聞のサイトでは脱ハンコ関連法案が衆院通過したニュースが2021年4月6日似掲載されています。

「脱はんこ」関連法案が衆院通過 99%超の押印廃止

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA05B5U0V00C21A4000000/

この記事を執筆しているのは2021年9月で新型コロナウイルス(COVID-19)の登場から1年半後の時代です。私はしばらく専門学校で学生と関わる仕事をしており、学生と話す機会が多いのですが、特に感じたのが就職活動の変化です。IT系の企業を受ける学生と関わっている関係からかWEB面接やWEB説明会を受けている話をよく聞きます。また、内定を頂いた学生も内定式や入社前懇親会などをWEBで行うという話もよく聞きました。また、転職サイトなどで見かける情報でもリモートワークが可能かどうかが注目されているようです。リモートワークを導入する企業が増えていることでこれまでの「出社して仕事する」という働き方が変化しつつあります。とりわけ、東京などの大都市で働く人達の中には(おそらくはかつてからその意識はあったのでしょう)リモートワークで仕事ができるなら地方に住居して今の仕事を続けたいという人たちも増えてきました。地方自治体もその点に着目して人口流出をなんとかしようとリモートワークができる施設や地方移住の魅力を発信しています。

しかし何事にも光があれば闇があります。リモートワークはたしかにできる人にとっては通勤時間も0になり、駅まで歩いたり満員電車に疲れることもありません。実際に出社するよりかはゆっくり朝の身支度をすることができるでしょう。企業側も「通勤」がないということはその間に起こる社員の事故などの心配をしなくても良くなり、通勤手当も支給する必要がなくなります。もしかしたら他にもメリットがあるかもしれません。しかし、良い面ばかりではありません。先にも言ったとおり全ての業種・職種・働き方(雇用形態)でリモートワークができるわけではありません。トラックやバスの運転手、配送業者や優美局の配達員、スーパーやドラッグストア、アパレルショップなどの一般消費者向け店舗で働くスタッフ、コンビニ店員、車などの修理工場技術者などは少なくても2021年現在ではリモートワークにはなっていません。コンビニについては新型コロナウイルス(COVID-19)とは関係なく、以前から無人コンビニの構想があり、アメリカではテスト的に運営が始まっています(たしか日本でも試験店舗が1店舗あったとニュースで報道されていたと思います)。また、秋田県では無人トラクターを使ったスマート農業の実験が行われていました。また、ドローンを使った配送も研究されています。

無人トラクターで代かき時間半減 横手市でスマート農業試験

https://www.sakigake.jp/news/article/20210522AK0027/

国土交通省のホームページに次のような記事がありました。

物流分野におけるドローンの活用

https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_tk_000024.html

こういった研究が実用レベル・普及レベルまで到達すれば、例えば配送業や郵便局からドローンで荷物を配送できるようになったり、トラックやバスも各営業所からリモートで無人車を運転することができるようになるかもしれません。しかし、もちろんここにも多くの問題点があります。例えばドローンであれば障害物(電線や鳥、他のドローン)との衝突による破損、使用電波を盗聴したハッキング。無人車であればハッキングや操作不良による事故とその責任問題が発生します。ここで言う無人車は自家用車の自動運転とは異なります。自家用車の自動運転はあくまで車の中に人がいて最悪事故が起こっても現場に人が居て対応できますが、ここで言う無人車は全く誰も乗っていないので事故が起きても現場に人が居ません。様々なリスクへの対処方法(法整備やそれに対応した保険の登場など)が現実になれば働き方が大きく変わっていくかもしれません。

しかし、極稀なのかもしれませんが中には正社員はリモートワーク可能だけれど派遣社員や契約社員は出社しなければならないという企業もあるそうです。正社員と派遣社員・契約社員では情報資産へのアクセス権限が違うため、社内の情報セキュリティルール上、そうせざるを得ないのかもしれません。

これとは少し関係がないかもしれませんが情報セキュリティに関する意味で1つの事件をご紹介させていただきます。2021年現在で高校生や大学生のお子さんがいる家庭にとっては記憶に新しいかもしれませんが、2014年にベネッセ・コーポレーションで多くの個人情報が流出した事件がありました。事件の概要については下記のリンク先でご確認下さい。当時、派遣SEとして働いていた社員が逮捕されています。

ベネッセ個人情報漏洩事件のすべて|企業は加害者?それとも被害者?

https://cybersecurity-jp.com/column/8418

少なくても日本では正社員とそれ以外の社員で例えば社内でも入れるエリアに制限があったり、扱えるファイルサーバやファイルに制限があったりと立場によって大なり小なり区別されます(もちろん立場によっても区別を一切していないという企業もあると思います)。

少し、話が長くなってしまいましたね。ここで教育とITに関わる1人としての小さな意見を総括としてお話させていただきたいと思います。

日本政府が掲げる「Society5.0」を実現させるためにも、これからの社会に対応するためにも、まずは全ての人(少なくても社会人として社会で働いている人たち)はITに関する知識を身に付ける必要があると思います。また、企業を経営していく責任のある立場や部下を管理していく責任のあるの方々についてはITに関する深い知識とこれからの社会がどのような働き方を求めてくるのか、どのような働き方が主流になるのか、人材確保のために社会が求める働き方ニーズを受け止めるためには会社の何をどう改革していけばいいのかを実行できる能力が必要となるのではないでしょうか?かつての日本では最初に就職した会社で定年を迎えるのが当たり前でしたが、少なくても2021年では自分のスキルや希望、状況に応じて転職することが多くなっています。そうなると企業の人材確保には目標数の新卒を採用するだけでなく、いかに離職者を無くすかも大きな課題になっているでしょう。その点と日本の少子高齢化を考えるとそう遠くない将来に新卒一括採用が限界を迎えることは目に見えています。

少し話は逸れてしまいましたが、先程責任ある方がITの深い知識を身につける必要があるという話を出しました。第1線の現場で働く人達にとってITを活用し、少しでも作業効率を良くするために知識・スキルが必要になります。しかしその人達が好き勝手にITを活用できるわけではありません。新しいソフトウェアをやITガジェットを購入する必要が出てきますし、セキュリティ上の問題もあります。そこを解決するためには承認権限を持った上司を説得する必要があります。責任ある方にITに関する知識がなければいくら説明してもわかってもらえないかもしれません。責任ある方も知識がなければ必死に説明している部下の話が宇宙語に聞こえるかもしれません。かつてであれば部下も「うちの上司はわからずやだ!」、上司も「お前の説明は難しいだけでなにもわからん」というやり取りをしつつも部下は長く会社で仕事をしてくれていたかもしれません。しかし、転職が当たり前になり、自分の会社と他社の労働環境の比較が容易にできる現代ではSNS上で「うちの上司はITのことを何もわかってない!こんな上司の下で仕事したくないし転職しようかな」なんて呟くと「うちの上司は部下想いでITの知識もめっちゃあるから理解早くて助かるよ!うちの会社受けてみない?」なんて誘いがあるかもしれません。部下の話をしっかりと聴き、理解するためにもITの知識は必要なのです。また、部下の提案に対して折衷案を出したり、アドバイスをしようにも知識がないことには適切なことは言えないでしょう。

また、これから社会人として就職していく方々もある程度のITの知識とスキルを身に付けておくことをオススメします。いくら就職する会社が新入社員に対して研修をしてくれるとは言え、ITの研修ばかりではありません。IT業界にプログラマーとして就職すれば会社で使用する言語の研修があるでしょう。しかしそれでも例えばITセキュリティやファイルパスの構造、不審なメールへの対処方法など事細かに教えてもらうことないでしょう。予習的な意味でもある程度のITの知識を身に付けておくことをオススメします。

Linkでは社会に出て働く人達全てに推奨されている「ITパスポート試験」やIT業界への登竜門的な位置づけにされている「基本情報技術者試験」の取得支援をしています。また、ネットワークだけ、セキュリティだけといった部分的に深く勉強するための講座もあります。