[第24回]国家試験解説[AP令和5年春]

応用情報技術者試験 令和5年春期 問16

3台の装置X~Zを接続したシステムA,Bの稼働率に関する記述のうち,適切なものはどれか。ここで,3台の装置の稼働率は,いずれも0より大きく1より小さいものとし,並列に接続されている部分は,どちらか一方が稼働していればよいものとする。

ア:各装置の稼働率の値によって,AとBの稼働率のどちらが高いかは変化する。

イ:常にAとBの稼働率は等しい。

ウ:常にAの稼働率はBより高い。

エ:常にBの稼働率はAより高い。

出典 IPA公開[過去問題]:https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/ps6vr70000010d6y-att/2023r05h_ap_am_qs.pdf

稼働率とは

稼働率は装置やシステムが正常に稼働する割合です。

国家試験では次の3パターンがあります。

    1. 問題文中に稼働率が明記されているパターン
    2. 装置の稼働時間など(MTBF・MTTR)から稼働率を計算するパターン
    3. 稼働率が明記されていないパターン

MTBFとMTTRから稼働率を計算する場合は次の公式を使います。

MTBF(平均故障間隔)・MTTR(平均復旧時間)とは

MTBFは装置を使い始めてから廃棄するまでの間で正常稼働している時間のことです。実際には稼働⇒障害⇒稼働⇒障害・・・を繰り返すので、正常に稼働していた時間の合計時間と考えて下さい。

MTTRは装置を使い始めてから廃棄するまでの間で障害によって使えない時間のことです。実際には稼働⇒障害⇒稼働⇒障害・・・を繰り返すので、このうち、障害が発生して回復して正常に稼働するまでの合計時間と考えて下さい。

今回の問題では各装置の稼働率は明記されていません。このような場合は適当に稼働率を決めて計算をします。※全装置を0.9で設定します。

システムAは(1-(1-0.9)×(1-0.9))×0.9=0.891

システムBは1-(1-(0.9×0.9)×(1-0.9))=0.981

この結果から、システムBのほうが稼働率が高いので、正解は「エ:常にBの稼働率はAより高い」です。

この問題に関しては別の解き方もできます。

システムAでは装置X・装置Yは並列稼働しているのでどちらか一方が稼働していれば良いのですが、装置Zが単一なので、装置Zに障害が発生してしまえばシステムが止まります。

しかし、システムBでは装置Zに障害が発生しても装置Yが稼働していればシステムとしては稼働し続けることができます。