[第75回]国家試験解説[AP令和4年秋]

応用情報技術者試験 令和4年秋期 問78

A社は顧客管理システムの開発を,情報システム子会社であるB社に委託し,B社は要件定義を行った上で,ソフトウェア設計・プログラミング・ソフトウェアテストまでを,協力会社であるC社に委託した。C社では自社の社員Dにその作業を担当させた。このとき,開発したプログラムの著作権はどこに帰属するか。ここで,関係者の間には,著作権の帰属に関する特段の取決めはないものとする。

ア:A社  イ:B社  ウ:C社  エ:社員D

出典 IPA公開[過去問題]:https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/gmcbt80000008smf-att/2022r04a_ap_am_qs.pdf

プログラムは著作物として扱われるため、本来はプログラムを作った人が著作権者となります。その際、プログラムのアイデアを出した人や制作指示をした人は著作権者になれません。あくまでも実際に制作した人が著作権者になります。

本問の場合、A社がB社に委託していますが、B社は実際のプログラミング作業をC社に委託しています。この時点でA社やB社はいくら「お金を出して依頼しているのは弊社だ」と言っても著作権者になれません。そして、C社でも実際にプログラミングを行い、プログラムを制作したのは社員Dです。

原則から言えば社員Dが著作権者となります。しかし、社員DはC社の社員であり、業務としてプログラムを制作しました。C社と社員Dの間で明示的に「業務で制作したプログラムを始めとした全ての著作物の権利は実際に制作した社員に帰属する」といったような契約をしていない場合、「職務著作」として実際に著作物を製作した社員が所属する企業が著作権者となります。

今回は「職務著作」となります。

正解は、「ウ:C社」です。

※実際にはA社ーB社間、B社ーC社間でも制作物の権利に関する契約を結ぶと思います。また、フリーランスの場合は本問での社員Dとは立場が異なるので、契約書にしっかり著作権の取り扱いに関する内容を明記しておかないと後になって揉めることになります。特にデザイナーや映像制作者などはSNSなどに掲載することが多いため、インターネットにおける扱い方についてもしっかりと取り決めておく必要があります。